こんにちは!イラストレーターの二反田こな(nitanda_cona)です。
今回は以前に描いたポケモンSVのチリちゃんのイラストを振り返りながら、いい感じにアニメ塗りを行うポイントなどを簡単にまとめていきます。

手前味噌で恐縮ですがこのイラストはTwitterで1.8万いいねをもらうことができました。
チリちゃんというキャラクターの人気っぷりを実感しつつ、あまり時間の掛かってないイラストなのに好感触だったことが嬉しかったです。
厚塗りなどにくらべて時間を掛けずに描けるアニメ塗りという手法で、見栄えを良くするポイントを見ていきましょう。
- アニメ塗りに興味がある方
- 時短しつつ見栄えのする絵作りをしたい方
使用ツール:CLIP STUDIO PAINT EX
レトロなセル画風の色味を作る

レトロなセル画アニメは画面の色が濃くコントラストが高いイメージですので、トーンカーブやレベル補正でイラストのコントラストを上げておきます。
大体いつもS字のカーブを意識してあれこれ試しています。今回は下図のようになりました。
またセル画風アニメはアナログの絵の具を用いており、デジタルアニメのような鮮やかな色味とは違い、ややくすんだような印象。

上図のように淡いグレーの乗算レイヤーを画面全体に被せることで、上記の「くすみ感」が画面に加わりセル画っぽさが増します。


くすみは出せましたがチリちゃんの血色がやや悪くみえるので、次の項目で影をブラッシュアップしつつ血色の問題も解消していきます。
影を付けるときのポイント
ベースカラーを塗った後いきなり影をつけ始めるのではなく、まずざっくりとした「陰影ラフ」で光の当たる方向を決めておくことをオススメします。
「色」と「陰影」の課題を分けて考えるとやりやすいので、今回は一度イラスト全体に白のレイヤーをかぶせてモードを「カラー」にし、光と影の方向性を確認しました。



「陰影ラフ」が決まったら、いったんキャラクターや背景に青色の乗算レイヤーをかぶせてしまいます。



そのあとは「陰影ラフ」を確認しつつ消しゴムなり白いペンなりで乗算レイヤーの青色を削る、つまり光を加える描き方で作業を進めました。
影から描くのではなく光から描くことのメリットは、光が印象的になりやすいことと、描き進めるうちに自然と影が完成していることです。
この方法は影を描くのが苦手という方にオススメ。

乗算モードで影をのせる描き方は時短になりますし楽ちんなのですが、色の情報が乏しいため画面の色味が単調で、面白みに欠けがちです。
また青みがかった影の場合、キャラクターの肌まで青っぽく見えて血色が悪く見えてしまいます。
ですのでまず肌部分の影は赤みのある色に調整しましょう。

これだけでも乗算モードの影に色のバリエーションが増えてパッと画面が明るくなりますよ。
他にも青色の影が不自然に浮くと感じる箇所があれば、適宜影の色を調整します。

この作業はとにかく絵全体に失われた血色をプラスしていくようなイメージですね
ポージング
以下のポイントは盛り込みたいと考えました。
- イケメン感
- 親近感
イケメン感については、なんといってもチリちゃんは夢女子のファンが多い(と噂な)ため。
親近感につきましてはチリちゃんの気さくな性格を考えると、モデルのようなキメポーズもいいけれど、身近に感じられる距離感のシチュエーションを今回は描きたいなと考えたためです。

まずはそのキャラクターを好きな人が喜ぶところを想像してワクワクしよう
- Pinterest…ハイレベルなアートや写真検索に強いプラットフォーム。「イケメン感」のイメージを膨らますのに利用。
- デザインドール…3Dツール(無料版あり)凝ったカメラアングルのポーズや光の当たり方の研究に便利なツールです。
線について

これも昔のアニメの製法によるところで、今どきのアニメよりも少し線が太めな印象です。
アニメ塗りは線が印象的な塗り方ですし、気持ち太めが映えるのかなというのが個人的な意見。
CLIP STUDIO PAINTの場合、「ベクターレイヤー」を使うと描いた後でも線の太さを自在に変えられるので便利ですよ。

利き手によって引きやすい線、引きにくい線があることはご存知でしょうか?
試しに自分の腕を動かしてみると分かりやすいです。
利き手が右手の人は左の線が描きやすく、右の線はやや描きにくさを感じるのではないでしょうか。
右の線も描けなくはないけど少しひっかかったり、スピードダウンしてしまったりする方もいる思いますし、私もその1人です。
線画を描くときは自分の利き手が描きやすい方向にキャンバスを反転・回転させてあげると、スムーズにきれいな線が引きやすいですよ。

手元の紙やペンタブで試してみてね♫
まとめ
以上、「ちょっぴりレトロなセル画風アニメ塗りのメモ」でした!
アニメ塗りはシンプルな分、線のニュアンスだったり色味だったりが大きく印象を左右する奥深さも魅力のひとつです。
ペン入れのコツについては以下の記事でちょっとしたテクニックをご紹介しています。
参考になりましたら幸いです。よいお絵描きライフを!